つれづれBlog道

あまり多くを求めず、ほどほどの人生。「菜根譚」

家を買う前に考えること

現在、新居を計画中です。
と言っても、築45年以上の住居兼工場の我が家をリノベーションする計画。
結婚して10年超、両親とも同居で、子どもたちも成長し、さすがに手狭になってきました。
あちこち老朽化もしていますが、構造部は鉄骨なので強度的にはまだ行けそう。
と言うことで、当初は建て替え、もしくは、近くに土地を買って新築も検討しましたが、予算も大幅に低額で済むリノベーションをする方向で話しがまとまりました。

と、こうやって文章にすると、さらっと決断したような感じですが、実際はここまで来るまでかなり紆余曲折がありました。
当初の新築案もかなりのところまで話が進んでいて、銀行のローン審査も通ったあとでの急きょ計画変更です。

私が思い直したきっかけは、たまたま地元で開催されたFP(ファイナンシャルプランナー)協会のセミナーでした。
今では家を購入する際や、保険の相談、ローンの相談窓口など、様々なところでFPの資格を持つ方と接すると思います。
彼らの仕事といえば、それぞれの顧客の家計状況を精査して、バランス良いライフプランやローンプランを提供してくれますが、本当に利用者の将来の家計を精査して判断してくれるプランナーであれば良いのですが、中にはそうではない方もいます。
なぜなら、彼らも金融機関の社員であることには変わりがなく、あくまでも最優先なのは企業の利益で、多少無理な返済でも顧客が破産しない程度になるべく多く長く借りてもらうように進めることもあるからです。
実際、昨年発覚したスルガ銀行の不正融資問題も、銀行内におそらくFPの方もいたと思いますが、とにかく業績最優先の社内体制だったのでしょう。
あのような不正が横行し、多くの方が被害にあってしまいました。

これはFPという資格を持っているかどうかの前に、どこの組織に属しているかで目的が変わってきます。
例えば、保険会社のFPであればなるべく多くの保険を売りたいと思うだろうし、ハウスメーカーのFPであればなるべく高い住宅を買ってもらいたい。

私が参加したセミナーのFPの方たちは、どこの企業にも属していない独立系のFPだったので、まずは自分自身の家計収支を見直すことを大前提に指導してくれました。
無駄な保険に入りすぎてやしないかとか、数年後に子供の学費がこれだけ掛かるとか、家計の収支表や、老後までのキャッシュフロー表など具体的なライフプラン設計を色々と学ぶことができました。
(因みにキャッシュフロー表とはどんなものか、実際に日本FP協会サイトを参照して下さい。ページ内から自分で書き込める表をダウンロードできます。
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便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会
 

私も住宅購入を考え始めた頃から、色んな書籍を読んだり、ネット記事を見て勉強したつもりでいましたが、実際に自分でキャッシュフロー表を作ってみると、未来の資産状況が可視化されて現実味が湧いてきます。
はっきり言って、色んなローン関連の本を読みあさるより、この表を自分で作成するのが一番説得力がありました。
これは、相談したFPの方もおっしゃていたのですが、
「私たちFPにご依頼されれば作成しますが、おおよその金額でも良いのでまずはご自分で作ってみる事をお勧めします。」
と、言っていたのも、確かに自分で作ったほうが理解が深まります。
最長35年間のローン返済というものが、いかに重いものかと言う事が実感できました。(同時に各種民間の保険も、えらく高い出費だという事もわかりました。これを機に保険の見直しも決断。)
実際、当初のプランでローンを借りると、老後の生活はかなり厳しい結果になってしまいました。

これを、住宅ローンの借入額を減らしたり、保険や学費などの出費を見直していくと、チリも積もればで老後の資産状況が劇的に変わってきます。
途中、子供の進学時期は一時的に資産は減るものの、後に老後までの数字が上がっていくのは、見ていて気持ちがいいものです。

まあ、必ずしもそのような計画通りに行くとは限らないことは百も承知ですが、まずは無理な借り入れをして後々後悔しないように、このような自分自身でライフプランを設計するという作業は、とても重要なことだと思いました。
一度作成しておいて何年か置きに度々見直すと尚の事良いでしょう。
実際、社会人になりたての時期にこういうものを学んでおきたかったなあと思いました。家計は経済学の基本です。

どうしても自分での作成が難しいとあれば、プロの独立系FPに依頼するのも手ですが、相談料は数万円かかるそうです。一生に掛かるお金の事を思えば安い出費でしょうが。
まずは私が参加したような無料セミナーが各地で開催されているので、足を運んでみるのが手っ取り早いです。


今は金利がとてつもなく低いので、高額なマイホーム購入にさほど抵抗感は無いかも知れませんが、購入を決断する前に一旦冷静になって考えて欲しいです。
独立系FPの記事でこんな内容も参考になります。
年収500万円夫婦が「毎月10万円の住宅ローン」は危なすぎるワケ(深田 晶恵) | マネー現代 | 講談社(1/5)


また、いくら金利が低いと言っても、現在は建築資材や人件費などの高騰で住宅価格そのものが上がっています。
首都圏の新築マンション相場の高騰は特に顕著。
アベノミクス前2012年から2017年の短期間で約1400万円も急騰しています。
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6000万円の住宅ローンを組んだ30代「高給・共働き夫婦」の末路(深田 晶恵) | マネー現代 | 講談社(1/4)
消費増税や、金利の上昇を懸念して、早く物件を購入しなければと考えている人も多いでしょうが、今後は価格が下落する可能性は十分にあるので、購入時期を先延ばしにして、その間になるべく頭金を貯めて、返済期間を短縮させる方が賢いやり方かも知れません。
マンションなんて数年でそんなに老朽化するものじゃないですしね。

変動金利の低さはたしかに魅力的ですが、低金利は将来も続くとは限りません。
なるべく固定金利で借りる方が将来の計画が立てやすいのですが、現在は変動金利で目一杯35年借りる人のほうが多いと言います。

また、35年のフルローンだと定年退職(65歳として)までに完済するには、30歳から返し始めなければいけませんが、実際は40歳前後で借りる人が多く、定年後もまだローンが残っていることになります。
退職金で返す方法も、将来年金が減る可能性が高いため、大切な老後の資金である退職金を返済に使ってしまうのは避けるべきでしょう。

誤解している人も多いのですが、5年固定、10年固定というローンは固定金利ではありません。
固定期間が過ぎると金利が跳ね上がるリスクもあるので、これらは実際は変動金利の部類。
固定期間終了後、また金利が低いローンに借り換える人も多いですが、そうすると当然、返済期間が先延ばしされ、総返済額は当初より高くなってしまうので注意が必要です。
そういったリスクを考えると、多少高くても全期間固定金利のローンを組んでおいたほうが間違いはないでしょう。

全期間固定金利だと希望借入額に満たないのであれば、そもそも欲しい住宅が現状の自分の身の丈に合っていないと言うこと。
どうしてもその物件が欲しければ、前述のように値下がりする時期を待ってから購入する方が良い。
固定金利で組むということは、将来の金利上昇リスクに備えた保険のようなものだと考えるべきでしょう。目先の損得で判断するのは危険です。