つれづれBlog道

あまり多くを求めず、ほどほどの人生。「菜根譚」

リノベーションのすすめ

前回のブログで書いたとおり、現在、自宅のリノベーションを計画中です。

 

私たち日本人は、基本的に家の建て替えや新築のほうが実例が多いので、リノベーションという概念はわりと最近巷に広がってきたように思います。

 

でも欧米では、建物は古くなればなるほど価値が上がっていく傾向があって、取り壊して建て直す、というよりは、改修してその建物を使い続けることが一般的だとよく聞きます。

 

ニューヨークやパリなど歴史ある古いアパートメントやビルを改修して、お洒落な住居やブティック、レストランやカフェなどの映像もよく見かけます。

また大型建築以外でも、地方の古い民家や倉庫のような建物も、非常にセンス良く改装した事例も多いですね。

そうした場合、もともとあった柱や梁といった構造部をあえてアクセントとして残して、古い物と新しい物とをバランスよく調和させています。

 

私はかねてより、そういった海外の建築事例を見る度に、日本は古くなったらすぐに取り壊し、新しい建物を建てたがる非常にもったいないことをしているな、と感じていましたが、ここ最近になってようやくそんな価値観も変わりつつあるように思います。

 

 

 

あと、欧米人たちは自宅の増改築などはDIYでやってしまうって事も非常に多いです。

日本では基本的に建設会社に丸投げしてしまいますが、欧米では自分たちで出来るところは極力DIYでやってコストをかけないようにします。

また、自分たちでも楽しみながらやってみたいという欲求も強いのでしょう。

あと休日も多いですし。

 

日本でもここ最近は「劇的ビフォーアフター」といったお馴染みの番組の他にもタレントのヒロミさんや森泉さんなど、プロ並みのDIY芸能人が登場してきたり、SNSでも一般の人のDIY事例の投稿が増加したりと、着実にDIYリフォーム・リノベーションが広がって来ています。

 

今後は空き家を購入し、リノベーションして住む、という事例がますます増えてくると思います。

2030年代には空き家が全体の3割以上になると言われているので、やがて供給過剰になり不動産の価格破壊がおきるでしょう。

先日、TVにも出ていましたが人口減少が進む東京都奥多摩町では、移住者に無償で住宅を提供し、リフォーム代も一部援助してくれるという、至れり尽くせりの自治体も出てきました。

取材を受けた方は、その情報を知って、はるばる九州から移住されたそうですが、自宅でもできる職業など交通の便を必要としない人であれば、実質無料で家が手に入る時代になりました。

無料とまではいかないまでも、今は不動産サイトなど見ると数百万円の土地つき一戸建て物件がわんさか出てきます。

 

今後ネット社会がさらに進んで、仕事も買い物も子供の教育もすべて自宅で完結してしまう世の中になったら、もはや住む場所というのは都市も田舎もあまり関係なくなるのかも知れません。

一つの土地に留まり続けなければならない必要もないでしょう。

であれば、わざわざ地価も物価も高い都市部で何十年も身を削りながら働き、高額なローンを払い続ける人生が、果たして幸せと言えるのでしょうか?

 

以前、スウェーデンに旅行に行ったとき、現地の人から聞いたのですが、あちらは人口が少ないわりに土地が広大なので、地方は非常に土地が安くて家を買いやすいのだそうです。

とくに最近の若者は、DIYで森の中に小屋を建て、夏場はそこで過ごす人が多いと言っていました。

もちろんインフラは不十分ですが、あえてそう言った場所を求める人も多いのだとか。

そうした環境で北欧の厳しい冬場は都会でがっつり働いて、爽やかで過ごしやすい夏場は自然の中でのんびり暮らす。

北欧諸国は世界の中でも幸福度が高いと、よく言われています。

もちろん高福祉国家としての側面もあるでしょうが、このようなひとつの地域に縛られない、フットワークの軽い自由な生き方も大いに関係しているかも知れません。

 

日本は少子高齢化でおまけに空き家問題等もあって悲観的な論調をよく聞きしますが、今後住宅という最も高価な買い物が誰でも気軽に買えるようになったら、結構幸せな世の中になるんじゃないかと思うのは、私だけでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

家を買う前に考えること

現在、新居を計画中です。
と言っても、築45年以上の住居兼工場の我が家をリノベーションする計画。
結婚して10年超、両親とも同居で、子どもたちも成長し、さすがに手狭になってきました。
あちこち老朽化もしていますが、構造部は鉄骨なので強度的にはまだ行けそう。
と言うことで、当初は建て替え、もしくは、近くに土地を買って新築も検討しましたが、予算も大幅に低額で済むリノベーションをする方向で話しがまとまりました。

と、こうやって文章にすると、さらっと決断したような感じですが、実際はここまで来るまでかなり紆余曲折がありました。
当初の新築案もかなりのところまで話が進んでいて、銀行のローン審査も通ったあとでの急きょ計画変更です。

私が思い直したきっかけは、たまたま地元で開催されたFP(ファイナンシャルプランナー)協会のセミナーでした。
今では家を購入する際や、保険の相談、ローンの相談窓口など、様々なところでFPの資格を持つ方と接すると思います。
彼らの仕事といえば、それぞれの顧客の家計状況を精査して、バランス良いライフプランやローンプランを提供してくれますが、本当に利用者の将来の家計を精査して判断してくれるプランナーであれば良いのですが、中にはそうではない方もいます。
なぜなら、彼らも金融機関の社員であることには変わりがなく、あくまでも最優先なのは企業の利益で、多少無理な返済でも顧客が破産しない程度になるべく多く長く借りてもらうように進めることもあるからです。
実際、昨年発覚したスルガ銀行の不正融資問題も、銀行内におそらくFPの方もいたと思いますが、とにかく業績最優先の社内体制だったのでしょう。
あのような不正が横行し、多くの方が被害にあってしまいました。

これはFPという資格を持っているかどうかの前に、どこの組織に属しているかで目的が変わってきます。
例えば、保険会社のFPであればなるべく多くの保険を売りたいと思うだろうし、ハウスメーカーのFPであればなるべく高い住宅を買ってもらいたい。

私が参加したセミナーのFPの方たちは、どこの企業にも属していない独立系のFPだったので、まずは自分自身の家計収支を見直すことを大前提に指導してくれました。
無駄な保険に入りすぎてやしないかとか、数年後に子供の学費がこれだけ掛かるとか、家計の収支表や、老後までのキャッシュフロー表など具体的なライフプラン設計を色々と学ぶことができました。
(因みにキャッシュフロー表とはどんなものか、実際に日本FP協会サイトを参照して下さい。ページ内から自分で書き込める表をダウンロードできます。
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便利ツールで家計をチェック | 日本FP協会
 

私も住宅購入を考え始めた頃から、色んな書籍を読んだり、ネット記事を見て勉強したつもりでいましたが、実際に自分でキャッシュフロー表を作ってみると、未来の資産状況が可視化されて現実味が湧いてきます。
はっきり言って、色んなローン関連の本を読みあさるより、この表を自分で作成するのが一番説得力がありました。
これは、相談したFPの方もおっしゃていたのですが、
「私たちFPにご依頼されれば作成しますが、おおよその金額でも良いのでまずはご自分で作ってみる事をお勧めします。」
と、言っていたのも、確かに自分で作ったほうが理解が深まります。
最長35年間のローン返済というものが、いかに重いものかと言う事が実感できました。(同時に各種民間の保険も、えらく高い出費だという事もわかりました。これを機に保険の見直しも決断。)
実際、当初のプランでローンを借りると、老後の生活はかなり厳しい結果になってしまいました。

これを、住宅ローンの借入額を減らしたり、保険や学費などの出費を見直していくと、チリも積もればで老後の資産状況が劇的に変わってきます。
途中、子供の進学時期は一時的に資産は減るものの、後に老後までの数字が上がっていくのは、見ていて気持ちがいいものです。

まあ、必ずしもそのような計画通りに行くとは限らないことは百も承知ですが、まずは無理な借り入れをして後々後悔しないように、このような自分自身でライフプランを設計するという作業は、とても重要なことだと思いました。
一度作成しておいて何年か置きに度々見直すと尚の事良いでしょう。
実際、社会人になりたての時期にこういうものを学んでおきたかったなあと思いました。家計は経済学の基本です。

どうしても自分での作成が難しいとあれば、プロの独立系FPに依頼するのも手ですが、相談料は数万円かかるそうです。一生に掛かるお金の事を思えば安い出費でしょうが。
まずは私が参加したような無料セミナーが各地で開催されているので、足を運んでみるのが手っ取り早いです。


今は金利がとてつもなく低いので、高額なマイホーム購入にさほど抵抗感は無いかも知れませんが、購入を決断する前に一旦冷静になって考えて欲しいです。
独立系FPの記事でこんな内容も参考になります。
年収500万円夫婦が「毎月10万円の住宅ローン」は危なすぎるワケ(深田 晶恵) | マネー現代 | 講談社(1/5)


また、いくら金利が低いと言っても、現在は建築資材や人件費などの高騰で住宅価格そのものが上がっています。
首都圏の新築マンション相場の高騰は特に顕著。
アベノミクス前2012年から2017年の短期間で約1400万円も急騰しています。
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6000万円の住宅ローンを組んだ30代「高給・共働き夫婦」の末路(深田 晶恵) | マネー現代 | 講談社(1/4)
消費増税や、金利の上昇を懸念して、早く物件を購入しなければと考えている人も多いでしょうが、今後は価格が下落する可能性は十分にあるので、購入時期を先延ばしにして、その間になるべく頭金を貯めて、返済期間を短縮させる方が賢いやり方かも知れません。
マンションなんて数年でそんなに老朽化するものじゃないですしね。

変動金利の低さはたしかに魅力的ですが、低金利は将来も続くとは限りません。
なるべく固定金利で借りる方が将来の計画が立てやすいのですが、現在は変動金利で目一杯35年借りる人のほうが多いと言います。

また、35年のフルローンだと定年退職(65歳として)までに完済するには、30歳から返し始めなければいけませんが、実際は40歳前後で借りる人が多く、定年後もまだローンが残っていることになります。
退職金で返す方法も、将来年金が減る可能性が高いため、大切な老後の資金である退職金を返済に使ってしまうのは避けるべきでしょう。

誤解している人も多いのですが、5年固定、10年固定というローンは固定金利ではありません。
固定期間が過ぎると金利が跳ね上がるリスクもあるので、これらは実際は変動金利の部類。
固定期間終了後、また金利が低いローンに借り換える人も多いですが、そうすると当然、返済期間が先延ばしされ、総返済額は当初より高くなってしまうので注意が必要です。
そういったリスクを考えると、多少高くても全期間固定金利のローンを組んでおいたほうが間違いはないでしょう。

全期間固定金利だと希望借入額に満たないのであれば、そもそも欲しい住宅が現状の自分の身の丈に合っていないと言うこと。
どうしてもその物件が欲しければ、前述のように値下がりする時期を待ってから購入する方が良い。
固定金利で組むということは、将来の金利上昇リスクに備えた保険のようなものだと考えるべきでしょう。目先の損得で判断するのは危険です。

AI(人工知能)について

ここ数年、AI(人工知能)に興味があってその手の番組等をよくチェックしてます。

 
中でもNHKEテレでやってる「人間ってナンだ?超AI入門」は素人が観ても分かりやすく、様々な分野でのAIの最先端技術を知ることができます。
 
世間ではよくAI が人間の仕事を奪うとか、将来人間の知能を超え制御できなくなるとか、そんな驚異論が取りざたされていますが、まあそんな不安要素もあるには有るんでしょうが、元来サイエンス好きの僕にとってはマイナス面よりも好奇心の方が勝って、割りと楽観的に考えています。
 
同番組を見ているとAI の進歩は確かにスゴいと思う反面、人間を超えるのはまだまだ先だなあという印象が正直なところです。
 
もちろん、計算能力、膨大なビッグデータを処理する能力や、ある特定の作業に限定すれば人間よりはるかに早く正確にこなしてくれます。しかも24時間休むこと無しにです。
 
しかし、人間が行う作業というものは様々な現場で見てもわかるとおり、かなり色んな雑務を
こなしています。
つまり汎用性がとても高いということです。
 
運送屋さんの仕事一つにしても、荷物の積み込みから玄関での手渡しまで一連の作業には様々な手順が必要です。
近い将来、自動運転が可能となってもこれら一連の作業を全て機械で行うのはかなりハードルが高いと思われます。
 
僕は建築関連の仕事に従事していますが、建設現場の工事もかなり複雑で大変です。
最近、壁にボードを取り付ける開発中のロボットをTVで観ましたが、まだとても現場で使えるような代物ではありませんでした。
現場は足場も一定ではなく、使用する工具、材料も多種にわたるため、必ずしも人型でなくても良いにせよ、かなり高機能な汎用型ロボットの登場を待たねばなりません。
 
ただしそれも昔ながらの軸組工法やリフォームといった現場での職人のスキルが必要と言った建築に限ってであり、プレハブ建築のような各モジュールを工場でライン製造するようなところは急速な無人化が進んで行くと予想されます。
そういった建築物では、職人は現場でただ組み上げるだけなので仕事量の大幅な減少となるでしょう。 んー複雑٠٠٠
 
どちらにせよ、様々な業種においてAI やロボットは今後、着実に進出してくるだろうなと思います。
すでに金融など資産運用なんかはAI がやってるし。メガバンクでもフィンテックを進めて人員を大幅に削減していく方針を会見で言っていたのはもう去年の話です。
 
最近は様々なサイトでもチャットボットが簡単な受け答えはしてくれます。
今後はカスタマーサポートもまずはAI が窓口っていうのが当然になってくるんでしょうね。
 
AI と人間、対立や排除ではなく、あくまで人間の補佐という役割で上手に付き合って行きたいものです。

花鳥風月

先日、下の娘が妻と一緒に「トトロ」を観ていて、僕も少しの間見ていたのだが、ふと「花鳥風月」というこの言葉が頭に浮かんだ。

 

ジブリアニメと言えば当然、宮崎・高畑両監督が描き出したキャラクターやシナリオも素晴らしいのだが、この美しい自然の景色の背景画も抜きには語れません。

 

 

トトロの背景画を手がけたのは男鹿和雄さんという美術監督。1987年、トトロ製作にあたり宮崎監督にスカウトされたらしい。(wiki調べ)

とにかく田舎の風景が素晴らしくて、いつ見ても惹き込まれ、子供の頃の記憶が呼び起こされます。

 

いま自分が住んでいるこの地元も、かつてはこのような風景がどこでも広がっていたのですが、近年はすっかり開発が進んで様変わりしてしまいました。

(都会から嫁いで来た妻は、いまでも十分田舎だと言うけど・・・(笑))

 

 

そういえば、以前、解剖学者の養老孟司さんがとある講演で話していましたが、現代の日本人に対して、「最近感動したことは何か」と尋ねると、ほとんどの人が「家族・友人・恋人との出来事」といったことを話すのだそうです。

 

これって実は、今の社会って、人間関係の事が中心になってしまっていて、私たち現代人はあまり自然に対して意識してないんじゃないかと仰っていました。

昔の和歌などを見てみると多くは花鳥風月のことを中心に詠まれていますが(中には恋愛モノも少なくはないですが)現在は明らかに人間中心の歌が多いのは確かです。

 

そうした人間関係中心の社会にあまり長く依存し続けると、時に心が病んでしまったり、争いの元になってしまいがち。

 

時には、まちの喧騒を離れて雄大な自然を眺め、花鳥風月に思いを馳せ、心の健康を保つことも大切ですね。

 

 

 

 

「やがて消えゆく我が身なら」池田清彦 を読んで

10年以上前に執筆された書籍なので、若干タイムリーさには欠けますが、現在でも十分に読み応えのある内容です。

もうTVでもお馴染みの池田節炸裂ですが、私たち現代の日本人がいかに世間の常識というものに縛られ、固定概念に凝り固まっているか、そんな価値観を自然科学的・生物学的に色んな側面から見つめ直させてくれる良書です。

著者は、子供の頃から大好きな虫を追いかけ続け、それを極めて生物学の教授までなった、もっぱらの自由人です。

だから話の内容も大方、型にはまらず、しがらみも無い極めて自由な生き方の内容が多いのですが、多くの現代人はなかなかそんな生き方を送るのも難しく、勇気のいることかも知れません。

中でも現代医療に関して、様々な疑問を提示していますが、ガン治療なんかも高齢になってガンになるのは生き物である以上、自然界においては仕方の無いことで、無理に手術をするのはかえって寿命を縮めてしまう。
若いうちからこまめに健康診断を受け、様々な数値の増減に一喜一憂し、食品や生活習慣を制限することも果たして幸せと言えるのか。

生物学の検知からすると、寿命の長短というものは食物の他、遺伝的要素、環境、その個体が受けるストレス等、無数にある要素がそれぞれ複雑に関与しあって起きる結果なので特定の原因を見出だすことは、ほぼ不可能と言えます。

以前、長野県諏訪中央病院の元院長、鎌田 實 先生の著書、「がんばらない」も読んだが、無理な治療は患者の幸福にはならない、と私も読んでいて思いました。

ただ、一昔前は、こういった病を根治させるという事に重点をおいた医療でしたが、近年はそれよりも患者のクオリティ٠オブ٠ライフの維持向上に努める傾向が強く、池田先生や、鎌田先生たちの考え方が浸透してきたのかな、と思います。

好きなことを極めて自由に生きている著者の論説は、各専門分野からの異論・批判はあるにせよ、生き方として様々なヒントを得られると思います。